奈良、時の雫 映像作家 保山耕一作品上映会
2020年 12月 30日
奈良、時の雫 映像作家保山耕一作品上映会
奈良公園バスターミナルにて
2020年12月27日
『鳴』を描くまで
自己表現の場ではあっても、俺が俺がと言った自己主張する場ではなく映像に寄り添うというか溶け込むことに集中して表現する、
この場に集った方は皆さんは、自然にそうきっと心得ている場に、今回も身を置くことができました。
保山さんからの14分にまとめられた美しい映像をいただいたときにはまだどなたが書と共演演奏されるのか?、確か決まっていませんでした。
飛ぶ火野やないかなあ、と少し前の青い世界の飛ぶ火野の映像を観ていました。
無音の映像に光と色と音を感じながら、映像の時間を読みました。
保山さんは、いつも自由に時間を気にせず書に集中してください、と言ってくださいます。
しかし、映像ありきなのでできる限り時間と映像を記憶したいと考えています。
1分20秒まで飛ぶ火野、そこから春日大社。
9分20秒から二の鳥居 鹿、流れる水
そして雫へ10分50秒から凝縮した凍てつく雫
その流れを記憶しながら、
音のお相手は、今回二度目の尺八松本太郎さん。
本番間近に申し合わせをし、一曲目は「鹿の遠音」と知ります。
あとは即興で、と。
何を描くかはまだ決められずにいましたが、鹿?春日大社?と
『鹿鳴』・・・
と描こうと思いました。
鹿は今まで何度か描いてきましたので、文字の意味、成り立ちなど調べてありました。
鳴は、改めて辞書を紐解きました。
また、「鹿鳴」は、多くの方が書かれている言葉でもありますので、難しく感じながら、言葉の意味を調べました。
そうして準備した墨と筆。
シンプルに映像を象徴的に描くのみを考えていました。
映像にこだわり抜いた作品に音楽が寄り添い、始まりから終わり方まで余韻を残して演奏されました。
音と映像は短時間のリハーサルの間にも微調整されました。
ああ、『鳴』や、
鹿鳴も含んだ『鳴』
そう、リハーサルの映像と音楽から おもったのでした。
『鳴』は、
祈祷に使われる器のそばで、神からの啓示を伝える鳥の様子を描いたものと解釈されている文字であり、
奈良にあって私は
耳を澄ましたくおもったのだと気づかされた映像でした。
いにしえ人は、鳥の声に、神様へ届けた祈りや願いに対するこたえが示されていると考え
その神意を感じていたのかもしれないと知るのでした
映像の中の鳥や鹿や蝶や木の葉や、
それは鳥の文字に象徴されながら
神様からの啓示を鹿も、蝶も、木の葉も、水の雫も泡も、伝えるものがたくさんとらえられています。
不思議な空間に身を置き、美しい映像間近にその中に身を置いているような中、自由に描かせていただきました。
選んだ筆は
春日若宮おん祭り撤饌
飛ぶ火野で拾った枝筆
刷毛、
唐筆
墨 油煙を中心に5種類で構成しました。
明確に想いが伝わる上映会でした。
保山さんをはじめご縁いただき、ご尽力くださった皆様に感謝申し上げます。
ありがとうございます。
幸甚 幸甚💓 桃蹊拝