人気ブログランキング |

箱書き (氷室神社御造替屏風)

御造替屏風の箱書きを、氷室神社にて記して参りました。
f0389753_01532312.jpeg
先週東京のライブの前に書いておきたかったのが正直なところです。

10年前から私は、人の死について、命について密接に日常的に考えるようになりました。禅に出会った18歳の時から、教えていただいてきたことは、30年近もただ薄ぼんやりとした絵空事であったことに気づきました。

5年も続けて身近な人を亡くしてきた結果、自分自身もいつ何が起こるかわからないという、今ある命の保証がないことを切実に感じるようになりました。
ですから、奈良を離れる前に、箱書きを済ませておきたかったわけです。

ちょうど今日は氷室神社の「祈念祭、としごいのみまつり」の日でした。

用意してきた胡麻油煙の墨をすっておりますと、宮司が『氷室』という銘の墨をを持ってきてくださいました。さらにこの墨を磨り足し
どのように書くかをご相談した後
「奉 森羅萬象 平成三十一年 正月 桃蹊 柳井尚美書 笹川文林堂制作 」と記しました。
f0389753_01224892.jpeg
墨に酒を混ぜたり、松脂を入れたり、またチョークで板目を埋めたりする方法もありますが、今回は唐墨和墨を丁寧にひたすら濃く磨るだけで墨は板目を走ることなく滑らかに書けました。蓋の幅だけ体が真っ直ぐにでいないのが少々難儀に感じました。
f0389753_01543750.jpeg
f0389753_01230703.jpeg
書き終って宮司と茶菓をいただきながら、しばらく 墨のことなどお話をさせていただきました。

依頼されてから制作に一年以上かけた作品は私にとって初めてのことでした。描く作業よりもどんな言葉を描くか?どんな心象の風景にするかが一番肝心な問題で、「森羅萬象」にたどり着き、御蓋山と日の出を象徴的にかき入れるというところまでに大概の時間を費やしました。
書は文字を墨で記す、というその文字が、伝える言霊だからです。
ようやく、やっと完了!
f0389753_01243815.jpeg
帰る頃には、少しく日がのびてきた東の御山に 淡く 薄っすらと
少し満月に足りない月が登っていました。



トラックバックURL : https://tohkeisumiasobihito.exblog.jp/tb/30420496
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
by sumiasobihito | 2019-02-18 01:59 | Trackback | Comments(0)

生きている墨の美しさ、生かされていることの有難さ。表現者としての記録


by sumiasobihito桃蹊
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31