濃き墨色に

白鳥は哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まず ただよふ
若山牧水

白は清らかに、美しい色です。花嫁の白無垢、白いドレスアップはあなた色に染めて、なんていう時代ではないかもしれませんが。汚れがない例えのような色です。ですから、私は大切な時に白シャツ、白足袋、で書を描かせていただいて来ました。
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覚悟を固めるために、自分の背を押すのに、そうして精進潔斎をし、落ち度のないように、右往左往弱い自分をなんとか、その場所に持っていく時、白は、大切なメッセージを持っています。
うまく言えない時、色々あると、色に例えます、多くのメッセージとして。

無意味に空間を汚す墨の線であるなら、真っ白な手漉きのそのままの素材の方がどれほど美しいかしれません。職人の真心がそこに見つめています。
お前はどう来るんや?!みたいな。
だからそんな、自分への戒めも込め、白で臨んで来ました。
若い頃はそんな染まらないこと、に憧れもしました。
ですが、今はただ色々な色(経験や人との出逢いの色)に染まっています。
染まりたいとも思っています。
有機のものはいつかなくなるものですが、重なり重なっていくと光の重なりと異なり黒になります。
おめでたい色の赤も、染めて染めていくと濃い赤は黒に近づくのだと、先ごろ学んだことを思い出していました。(皇室の水引は慶事のおりも白と黒(濃き赤)であると。)

また、かつて老師が、天皇皇后両陛下と海外の賓客とを、お迎えするにあたり、墨染の衣に決心された禅僧としての墨染へのこだわりもまた、思い出していました。(夢に魘されるほどの一大事であったと、回想されています)
色を重ねて黒になるのと、墨色の重ねた黒とは少々異なりますが、
黒(玄)という色は深いわけです。
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私の、それは節目と考える今、この時期に、多くの方の温かい言葉や支えがあってそれは、表現者として、また館を継ぐ主として有り難いばかりです。
私は色々な色を重ねて、染まらないくらい深く色を重ねたいと思っています。
それは何処にも属さないと決めた表現者の立場と等しく、生活の糧もまたそうありたいのです。
「強がりでも、笑っていろ、」と。教えを受けた若き頃のそれとは異なり、頼って、甘えて、頑なではなく交わりながら、ということです。
来るもの拒まず去る者追わず、オープンに。

染まるだけ染まって、何にも染まらない黒になりたいと思う、
今日は冬至の夜です。
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by sumiasobihito | 2017-12-22 20:47 | Comments(0)

生きている墨の美しさ、生かされていることの有難さ。表現者としての記録


by sumiasobihito桃蹊
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