飛火野 、(奈良との出逢いから映像「 墨の煌めき」まで)
2014年 02月 14日


その日吉館から歩いてほどないところに飛火野という場所があることを知りました。
私にとっては奈良のどこでも無い、この飛火野に魅せられて、気がつけば奈良で40年も経ってしまいましたね。この場所が春日大社の境内であると知るまでには時間がかかりました。

全国大学書道連盟の合宿、展覧会が奈良で開催された夏のことでした。京都漬けやった私に奈良を勧めたのは河井寛次郎記念館の当時の館長、玄次郎さん。

いつしか京都よりも奈良に惹かれていきました。

恋する飛火野にほど近い高畑が最初の栖。
この家を教えてくださったのは、美味しい「珈琲屋 凡豆」さん。「黄色い人参」さんの紹介でした。(これも日吉館からのご縁)
奈良に暮らす前から今もずっと親切にしていただいています。
日吉館で働いていらしたミリアムのご夫妻も高畑で再会しました。

離れがたい奈良、になりました。

年月を重ね、三人の子にも恵まれた奈良の暮らしではありましたが、大切な人たちを次々と失い、途方に暮れていた頃、また新しい出逢いを導いてくれたのも飛火野でした。

雲の行くへや
とほつ世の人 」桃蹊


こころの影を踏み遊びながら
飛火野の空は瞬く間に
彩りを移していく
やがて闇が来て
高く御山に月が登れば
さ雄鹿の聲

墨を磨り
それでも、おさまらずに
筆を持てば
描くうちに
私は
遠く波立たない
深く広いところにいた

私の救いであり
祈り、のほか
何ものでもない

この場所に来れば 空を見上げたくなる
この場所は忘れていたことを思い出させてくれる

by sumiasobihito
| 2014-02-14 07:00